10年を振り返って(マスター編)
ナギコーヒーはこの夏10周年を迎えました。
決して楽な道のりではありませんでしたが、
多くの人に支えられ、小さな奇跡が重なり続けてここまで来ました。
ナギコーヒーを開くきっかけとなったのは、古き良い喫茶店が閉店しているという現状でした。
第一次喫茶ブームと言われているのは1950〜70年代。
高度経済成長期に、音楽を楽しむ名曲喫茶やこだわりの喫茶店が登場。
全国に数多くの「純喫茶」が誕生しました。
この後の喫茶ブームは様々なチェーン店が普及し、日常的にコーヒーやエスプレッソを楽しむスタイルへ移行していきます。
この第一次喫茶ブームに誕生した喫茶店のマスターが1世代でお店を閉めるとおのずと喫茶店が閉店する時期が重なるのです。
便利やスピードが重視されるこれからの時代、喫茶店のようなフルサービスの接客は、街の温度をあげる大事な役割を担っていると感じています。
隣人、職場、お客様と店員、人との付き合い方がドライで効率的になりがちな社会に、自分が自分らしくいられる居場所は安らぎをくれます。
当店がある反町駅、松本町でもこの10年のあいだにひっそりと店を閉めた喫茶店が多くあります。
喫茶店キャメル、ナポレオン、ユウキ、茶房えむ。
反町は、歴史を紐解くと面白いくらい移り変わっていった町です。
そんな歴史と共に歩んだ喫茶店は、えもしれぬ空気感があります。
ナギコーヒーはそんな喫茶店の空気を途切れさせず引き継げたのだと思っています。
私には喫茶店を続けるなかで目標があります。
親子孫の三世代に跨がり愛される喫茶店となることです。
オープンして間もなく赤ちゃんで来店してくれた男の子はもう小学校中等部になり、立派なお兄さんとなりました。
ケンカをよくしていたあの姉妹も、保育園のお散歩中『お~い』と元気よく挨拶してくれたあの子も。
もちろん悲しい事もありました。
決まった曜日に来てくださり、大変お世話になったお客様が急に来なくなり、暫くして娘さんから亡くなられたことを知らされる。
ご家族の方が知らせてくれるくらいナギコーヒーを愛してくれていたことが悲しいけど嬉しかったです。
まだまだ道半ばですが、この街に暮らす人達と共に息づく喫茶店でありたいと思います。
そして月日を重ね、ナギコーヒーならではの空気感が生まれていくと信じています。